尼崎オニバリーガーデン

どうも、おにぎり爆弾と申します。尼崎出身のチマチマ大学生がチマチマとチマチマするやつです。日記もチマチマ書いてますhttp://onigiribakudang.hatenablog.jp/

おにばく推奨映画「グローバル・メタル」(2007年)

第2回おにばく推奨映画です。まさか2回目があるとはね。

 

今回取り上げるのはスコット・マクフェイデンと人類学者のサム・ダン両監督の制作による音楽ドキュメンタリー映画「グローバル・メタル」。

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メタラーである上に、音楽ドキュメンタリー大好きおじさんでもある俺にとって、この映画は数ある音楽ドキュメンタリー映画の中でもフェイバリットの一つなのだが、メタラーでない人にも是非見てほしい内容だと思ったので、今回取り上げることにした。

 

あ、そこそこネタバレはしていきます。

 

内容は監督である人類学者のサム・ダンが「メタルのグローバル化」をテーマに世界各国を取材して回るというものだ。取材国はブラジル、日本、インド、中国、インドネシアイスラエルUAE(取材内容はイランについて)の順。

各国のメタルバンドマンや一般人メタラーに加え、IRON MAIDENのブルース・ディッキンソンやMETALLICAのラーズ・ウルリッヒ、SLAYERのケリー・キング&トム・アラヤ等の有名ミュージシャンも登場し、彼等のインタビューと共に各国におけるメタルの歴史を振り返る。

 

 

この映画を見終わった時にまず思ったのは「日本人で良かった」ということ。自分の好きな音楽を聴けるということは、それだけでも充分幸せなことなのだ。

 

この映画に登場するメタラーの多くはメタルを単純な娯楽として捉えていない。生きる糧、あるいは魂そのものと言うべき存在として彼等の生活にメタルがある。

 

先述した通り、取材国の一つとして日本も登場するのだが、客観的に見てこの映画における最も「浮いている国」は日本だろう。無論それは決して悪い意味ではない。寧ろそれは日本が平和な先進国であることを示している。

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インタビューで登場する音楽評論家の伊藤政則氏が語る通り日本人にとってのメタルは飽くまでも娯楽としての認識が一般的だ。

満面の笑みを浮かべて「I Love Metal!!」を宣言する女性メタラーHR/HMを扱うバラエティ番組・・・それらが物語っている。

 

他の国ではそうはいかない。インドネシアではMETALLICAの初来日時に会場外で暴動が起こり、チケットを持っていようがいまいが警備員にコミュニスト扱いされた挙句ボコスカ殴られ会場入り出来ないという有様。それが98年の出来事だというのだから恐ろしい。

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イスラエルでは異宗教間での紛争、徴兵令、通りを歩いているだけで標的になり得る自爆テロなど悪魔以上に恐ろしい現実が存在し、その状況に憤りを感じる者がメタルを聴いたり、メタルバンドを組んで怒りのメッセージを発信する。

長髪にしているだけで、SLAYERのTシャツを着ているだけで逮捕される中東では、メタルバンドを組んでも観客は着席が義務付けられ、過激な歌詞は全面的に禁止される。

 

 

彼等のメタルへの熱き思いには心が揺さぶられる。日本人である我々にも決して共感出来ないことではないはずだ。

メタルに限った話ではない。音楽から元気を貰ったことは、音楽好きならば誰もが経験することだと俺は思っている。俺自身辛い時期は音楽の力を借りることが多かったし、これからもそうだろう。そういった時期に聴いていた曲は、自分にとって単なる娯楽を超えた「希望」や「勇気」と云ったものに近い。そう、この映画に登場する彼等にとってのメタルと同じように。

 

 

音楽好きなら一見の価値はある映画だと個人的には思う。無論メタラーなら確実に楽しめるはず。

(これを見て少しでもメタルに興味を持ってもらえたら・・・なんてことは言わない)